ジョニイの無目的室

目的なく、ただつらつらと。

暗くなるのをやめろ

「そうやって上手くいかなかったときに、
暗くなるのをやめろ!」

という言葉を聞いた。
上司が部下に向かって投げかけた
言葉だ。
部下はさらに萎縮し、
余計に暗くなっていた。

若い部下は正論をもってアドバイス
というか説教を受けており、
言われていたことは
至極もっともであったけれど、
この上司はその心の弱い部下の内面に
思いを馳せたり、寄り添うということは
おそらく困難だろうと思った。

暗くなっても意味はない。
たしかにそうだ。
課題があるのは成長できるチャンス。
それもたしかにそうだ。
ただそのくじかれた心に対して、
そのような圧の強い正論が有効とは、
側で聞いていて思えなかった。

もちろん、そこで何クソと
立ち上がることを期待しての
上司の激励なのであろうが、
まずそういう圧と言い方で
伝わるような感じの人間だろうか
その部下は。
言葉は誰に、どのように言われるかが
重要であって、内容なんかどうでもいい。
言葉なんて、
ほとんどがどこかで誰かが言ったような
聞いたことのある言葉ばかりなのだから。

それで潰れたらそれまで。
ついてこれなかったら、お前が悪い。
そんな無言のメッセージが上司の
無意識から滲み出ているように感じた。
おそらく部下も敏感に察知したはずだ。
自分はダメだと思い、
さらに暗く落ち込んでしまったかもしれない。

結局、落ち込んでいる部下も、
部下に成長を望む上司も、
その部下の暗さを容認できない
という一点においてのみ同意見だったのではないだろうか。

その暗さは間違っている。
暗さを排除したくてしょうがない。
でもそんなこと言われてもできない。
いや、やる気があれば簡単にできるだろう。 

その暗さはおそらく部下のコンプレックス
だろうし、
上司にとってはそんなもの、
不必要で存在してはならないと思っていそうだ。

問題は
機械の部品を変えるみたいに
その要素だけを容易に取り替えることは
できないということだと思う。

その欠点だけをうまく排除して、
その人の美点のみはそのままで、
都合よくバージョンアップする。
というのは人間に適応していい
望みなんだろうか。

変化や成長はできる。
ただ自分にも他人にも、
それを強制的に押しつけたり
コントロールすることで
望むようにうまく変われるんだろうか。

もし自分が人から
欠点を指摘されるのだとしたら、
相手から最低限度の敬意と節度を
感じられなかったら、
とても素直に聞き入れることなど
できないだろう。
敬意と節度を欠いた望まぬおせっかいほど
不快なものはない。

自分は部下に肩入れしながら
上司と部下の会話を聞いていた。
ただ、ちょっとした言い方や、
配慮ある態度一つで全く違ったものに
なるんだろうなと思いながら、
我が身を振り返らずには
いられなかった。