ジョニイの無目的室

目的なく、ただつらつらと。

車窓

夕方、仕事で車を走らせていると、
正面に見える山の上、
ちょうど山と雲の合間が
朱くなっていた。


画用紙に色鉛筆で
やわらかく塗ったような
そんな朱色だった。


なかなかこんなきれいな
夕暮れは見れないなぁと思いながら
車を走らせていると、
道路沿いの歩道で
女性が足を止めて、
スマホでその空を撮っている姿が
見えた。


さすがにあんな空を見たら
撮りたくもなるよなぁと思いつつ
その横を通り過ぎた。
自分も車を停めたら
あとで撮ろう。


街中のなんてことのない場所からでも
あんなふうに奇跡的な風景が
見えることもあるのだなぁと思った。
ひょっとしたら気に留めていないだけで
毎日ああいう空は日暮れになると
見えるのかもしれない。


全く見ず知らずの、
車越しに横を通り過ぎただけの他人と
同じ風景を見て同じように
感動しているという
そのシチュエーション自体も
なんかいいなぁと思いながら、
そこから少し走って目的地に着き
車を停めた。


山のほうを見ると、
もう日が沈んでしまい、
朱い色は消えていた。


写真には収められなかったけれど、
いいものを見られたし、
なんだか良かった。